地域コンテンツ研究会@富山


 第4回目となる地域コンテンツ研究会を,富山県立「高志の国文学館」で開催しました。元はと言えばこの研究会,富山県が文学館が立ち上げようとした際に,サブカルチャー部門で収集するコンテンツについての助言を求められて集まったのが始まりでした。その文学館で研究会を開催できたということ,それ自体が慶びです。

特集: まちの未来をつくる
【第1部】 報告・話題提供

  • 「まちの未来を学生がつくる」 小泉葵 (富山高専国際ビジネス学科4年)
  • 「文学館におけるアニメ・マンガの役割」 大川原竜一 (高志の国文学館 主任学芸員
  • 「夢みる力を、つくる力へ ―― 地域・コンテンツ・人間」 近藤周吾 (富山高専准教授)

【第2部】 講演

  • 「アニメ舞台からのまなざし ―― アニメと地域文化のエマージェンス」 花房真理子 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)

【第3部】 総合討議

http://www.regionalcontents.net/

 今回は,主に城端の事例を念頭に置きながら,地域住民との人間的な関係について議論しました。私からは,来訪者数を単位としてみれば成功例とみなされているような《アニメの聖地》であっても,地域コミュニティの形成に対する寄与という観点からみれば……という話をいたしました。一般参加でおいでいただいた方々からのご発言からも示唆を得ることができ,良い研究会に仕上がったと満足しております。

森アーツセンター『ラファエル前派展』

 シンポジウムに参加するお仕事で東京へ。午前中に時間があったので,森アーツセンターギャラリーに寄って『ラファエル前派展』を見てきました。
 自然に忠実であろうとする作風であるため,背景たる風景の描写が緻密なものが多く,好みに合う作品が数多くありました。心に留まったものはというと,ジョン・エヴァレット・ミレイ『安息の谷間「疲れし者の安らぎの場』でした。尼僧が墓穴を掘っているという暗い主題の作品ですが,2人の人物の動と静のコントラストに見入ってしまいます。

リンダ・グラットン『ワーク・シフト』

 リンダ・グラットン(Lynda Gratton)『ワーク・シフト:孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉』を読了。
 働き方の未来を形作る5つの要因〔第1部〕については特に異論はない。しかしながら,そこから導き出される働き方の3つの〈シフト〉〔第4部〕になると苦々しく読んだ。著者がロンドン大学ビジネススクール教員であるせいか,アングロサクソン的エリートにしか適用できないのではないかという節が強い。上位2%に相当する人材については著者の指針に従って生きてもらうとしよう。では,残りの98%にあたる大衆はどのような働き方を描くのか? さらに,格差の拡大を是正する政治の役割というものが一顧だにされていないのも本書の難点だろうか。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

スペインで『現代日本法入門』が出版されtました

 日本大学で開催された日本スペイン法研究会に参加してきました。
 研究会では,2010年に『現代スペイン法入門』(ISBN:4782305079)という本を出版しています。これは,スペインの法制度について現地の執筆者に記述してもらい,それを日本の研究者が注釈を付けつつ日本語で紹介するというものでした。
 次は日本の研究者が日本の法制度について原稿を書き,それをスペイン語に訳してスペインで出版しよう――という企画が立ち上がったのは3年前だったでしょうか。色々とあったのですが,このほどようやく『Introduccion al Derecho Japonés Actual(現代日本法入門)』(ISBN:9788490149126)という本になりました。
http://www.derecho-hispanico.net/libros.html
 私もコラムを2つほど書いております(「年金制度」と「パートタイム労働法」についてです)。10月に出版されたらしい,という噂は聞いていたものの,ようやく実物を手に取ることができました。
 95ユーロと高い本ですが,約750頁ありますのでお値段に見合うだけの情報が詰まっております。日本国内では入手困難だと思いますけれども,スペイン語圏に法律を生業とされるお知り合いがおられたらご紹介くださいませ。
http://www.amazon.es/dp/8490149127/