第5節

 重複するが、ガイドラインの性格について今一度述べておく。
 ガイドラインは、先に述べたように【明文化された社会通念】である。これははてなダイアリーという社会集団(コミュニティー)内部での話であり、社会一般と異なっていても構わない。雑誌や番組では用いられている卑猥な語句であっても、キーワードとして利用することは控えようということもありうる。
 また、管理者の許容する範囲の内側で、独自の制限を設けても構わないだろう。例えば個人的属性の強い事柄(ウェブサイト名など)を登録することにつき、管理者としてはこれを問題としていないようであるが、利用者で申し合わせて登録を自粛することにしてガイドラインに加えるという方策もあり得る。コメント削除を目的としたキーワードのスクラップ&ビルド(多重登録)を不愉快に思うならば、それに対応したルールを考えるべきだろう。そのために評議会が召集されるという使われ方のほうが*1、有効かつ確実に機能する。議題第2号のように、ある1つのキーワードの当否を判断するために使うことは、当時者同士のもつれをなだめるためのものとして意味があるが、費やされた労力に対する収穫が少ないように思う。
 刑法の基本原理に「疑わしきは罰せず」というのがある。何らかの基準に照らしてはっきり違反だといえないのであれば、権力を行使することは抑制されねばならない。この原理に従うなら、ガイドラインの解釈が不明瞭である(ガイドラインに書かれていない)ならば、キーワードの削除に対して慎重でなければならない*2。評決があたかも人気投票のように推移することは、好ましいものではない。

*1:筆者が先に述べた、立法的な活用のことである。

*2:ルールが不明確なままでは、作成と削除のイタチごっこになる。グレーゾーンに位置するものだと認識したら、その一件はひとまず放置し、問題の所在を有識者に伝えてガイドラインに反映させる努力に振り向けた方が建設的ではないか。