第7節

 個別の議案について本稿で当否を論じるつもりはないが、議題第2号のうち、第三者言及性についてだけは触れておきたい。この議論の中で登場した「休眠キーワード」、即ち、作成されたものの利用頻度の著しく低い語句の処遇についてである。現行の《作成》ガイドラインでは、第三者が利用する《可能性》がなければキーワードとしての存在を認めない立場を取っている。この判断基準を《削除》の際にも適用しようとすると混乱が生じる。何故ならば、作成から幾らかの時間を経た段階では、第三者が利用する《可能性》は引き続きそのままに、第三者が利用している《実態》があるかどうかも見ることも出来るからである。
 キーワード数を抑えなければならないというシステム上の必要性があるかどうか(広くいうと、運営者がどのような商品を提供するか)は、管理者が判断すべき事柄であって、ここで利用者が論じても仕方がない。ただ、利用者の側において、第三者の利用《実態》が無いものは削除するという自主ルールを策定することも、あながち不可能ではない。参照されることが少ないキーワードの存在をノイズとして嫌がる人も、少なからず存在するらしいからである。そこで差しあたっては、当事者の同意を取り付けたうえで削除するための手続的ルールが必要かどうかを考えてみてはどうだろう(これを削除勧奨ないし任意整理と呼んでおく)。「違反はしてないのですが使われていないようなので削除してもよろしいですか?」という要望を添えたうえで削除対象に移すといったことは、現在の諸ルールが禁じてはいないことである。キーワードの整理をしたいと考えている利用者がいることを前提として、そのための観察期間を何か月にするかとか、二度三度と要請しても良いか――といった「行動基準」を、その要不要も含めて論じれば良い。いったん作成されたものは削除しない、という自主ルールが登場することもあり得る。
 《作成》と《削除》を同一の考慮要素(ガイドライン)で判断することに無理があるというのは、議題第2号をめぐる論議から導かれた知見である。第三者利用の《可能性》と《実態》とは分けて考えられてしかるべきである。なお、削除勧奨のための行動基準を策定することで論議が進んだ場合、ある作家の知名度の低い著作のように、データベース上に存在するだけでも意味があるものまでも対象となるようなことがないよう基準を講じていただきたいと希望する次第である。