富士山は“妹”属性です

 京極夏彦『塗仏の宴』「宴の支度」*1を読んでいたら,山の神様の話題が出てきた。

 「富士山は――妹なんですか?」
 何故妹なのだ? (中略)
 「富士山の祭神は先程云った通り木花咲耶姫で,その木花咲耶姫は“妹”という属性を持っていた訳です。だからそれを祭神とした段階で,富士山には便宜上“姉”が必要になってしまったんです。」
新書版571頁下段より

 いや,咲耶に必要なのは“お兄様”ではなかったか。


 もちろん原文では,その前に説明があるんですけれどね(^^; 妹の木花咲耶毘命(このはなさくやひめのみこと)は桜の如く〈死と再生〉を司り,姉の石長比売命(いわながひめのみこと)は岩の如き〈永遠〉を象徴する。これに続くのが次のエピソードであり,そこからさらに続くのが先の引用箇所。

 「こんな昔噺知りませんか? 富士山と浅間山は姉妹だったというお噺です――」
 「姉妹――なんですか」
 「はい。山の神様は女ですから,兄弟じゃないのです。姉妹です。それで,富士山が妹です。」
新書版571頁上段より

 あ,なんか“姉妹”に「スール」と読み仮名が振ってあるように見えてきた……。ふじタンの肩越しに,ツインテールが風に揺れているのも見える(ような気が)。
▼ 関連資料

*1:新書版:ISBN:4061820028,文庫版:ISBN:4062738384