ポルト(その1)

 今年度も無事に学事日程を終えられたので,年度末に2週間の休暇を取ってイベリア半島へやってまいりました。
 今回の主たる目標は,未踏になっていたスペイン北西部のガリシア地方を見てくること。かれこれ20年近くスペインに通い続けているのですが,東部の町バレンシアに拠点を置いているため,イベリア半島の西側がどうしても行きづらい場所になっております。いろいろと経路を検討しまして,日曜日の2030にKUH釧路を出発して東京へ向かい,HND羽田空港を深夜0030に出るAFエールフランスのパリ行きに乗り,CDGパリからBCNバルセロナへ,その後VYブエリング航空のOPOポルト(Porto)行きに乗り継ぐという行程。到着は月曜日の1210なので,移動だけで所要24時間を超えてます。

 ホテルに荷物を預けたところで,さっそく旧市街を見に出かけました。最初に向かったのは《世界で最も美しい書店》と名高いレロ・エ・イルマオン。……確かに,この階段は構造的に興味深いし,本を搬入するためのトロッコがあるのも面白いのだけれど,書店としてはどうなんだろう? 観光名所になってしまって,本を探す雰囲気ではありませんでした。記念に何か1冊買い求めようとしたのですが,人混みが嫌で早々に退出。



 ドウロ川にかかるドン・ルイス1世橋を渡って対岸のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアへ渡り,ワイナリーを見学してポートワインの試飲(EUR5.0)。ホワイトとルビーの2種類を味わってみたのですが,甘みの残る酒精強化ワインよりも熟成させた普通のワインの方が好みだと確認できました。



 夕食はシアン・キ・フュムで。ガイドブックに「庶民が通う」「安くてボリュームがある」と書いてあったので行ってみたのですが,まさしくその通りで。前菜にサラダを頼んだら直径20cmの皿に山盛りで出てきました。さらにメインに頼んだ豚とアサリのアレンティージョ風は優に2人分はあるのに,さらに付け合わせでライスとフライドポテトがこんもり。滞在中,行く先々で出てくる食事の量の多さに苦労したのですけれど,これもポルトガル独自の食文化なのでしょうか。

石川孝織『釧路炭田 炭鉱(ヤマ)と鉄路と』

 勤務校の図書館に要望して入れてもらった本を最初に借りてきました。著者は釧路市立博物館の学芸員であり,本書は北海道新聞に連載された記事をまとめたもの。石炭と鉄道が主役であった昭和20〜30年代の写真にていねいな解説が添えられている。実に興味深い産業史。惜しまれるのは,地図があまりに簡略に過ぎて記事に登場する場所が把握できないことでしょうか。
ISBN:4905307082

『シンフォニック=レイン』 舞台探訪

ピオーヴァ


右は,ミラノ中央駅。筆者撮影。

コンサートホール

右側は,ミラノの「スカラ座」(Teatro alla Scala*1

2006年9月,ミラノまで取材に行ってきました。改修工事を経て,外壁の色合いが淡く変わっています。

天蓋

右側は,ミラノの「ヴィットーリオ・エマヌエーレII世のガッレリア」(Galleria Vittorio Emanuele II)

教会

右側は,フィレンツェの「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂」(S. Maria del Fiore)*2

柱廊(ポルティコ)


右側は,ボローニャのポルティコ(portico)。筆者撮影。


作中画面のキャプチャーを引用しています。

*1:るるぶワールドガイド イタリア』(ISBN:4533052592)より引用。

*2:フィレンツェのシンボル「ドゥオーモ」のこと。筆者撮影。

藪田 → 西岸 → 和倉温泉


 北陸まで来たので,近くの舞台を取材しに行ってきました。昨日の研究会に,はるばる広島からおいでいただいたKさんがお帰りになる途中のお車に同乗させてもらいまして,まずは『true tears』の藪田バス停へ(でも,待合室には『ほしのふるまち』の事しか紹介されていませんでした……)。
 次いで,のと鉄道の西岸駅へ。たまたま『花咲くいろは』ラッピング電車(ただし,2両編成のうち片方だけ,という運用)に乗ることができました。帰りの列車を待つ40分間に「駅ノート」を閲覧して,仮説の検証作業をしてきました。やはり(のと鉄道には乗らず)自家用車を使って訪ねてくる例が多いようです。
 のと鉄道の路線図を見ていたところで和倉温泉駅が『痕−きずあと−』の舞台になっていたことを思い出したので,降り立ってみました。鶴来屋のモデルとなった加賀屋を見ておこうと歩いていったのですが,片道2.4kmは遠かったです(でも満足)。

地域コンテンツ研究会@富山


 第4回目となる地域コンテンツ研究会を,富山県立「高志の国文学館」で開催しました。元はと言えばこの研究会,富山県が文学館が立ち上げようとした際に,サブカルチャー部門で収集するコンテンツについての助言を求められて集まったのが始まりでした。その文学館で研究会を開催できたということ,それ自体が慶びです。

特集: まちの未来をつくる
【第1部】 報告・話題提供

  • 「まちの未来を学生がつくる」 小泉葵 (富山高専国際ビジネス学科4年)
  • 「文学館におけるアニメ・マンガの役割」 大川原竜一 (高志の国文学館 主任学芸員
  • 「夢みる力を、つくる力へ ―― 地域・コンテンツ・人間」 近藤周吾 (富山高専准教授)

【第2部】 講演

  • 「アニメ舞台からのまなざし ―― アニメと地域文化のエマージェンス」 花房真理子 (慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程)

【第3部】 総合討議

http://www.regionalcontents.net/

 今回は,主に城端の事例を念頭に置きながら,地域住民との人間的な関係について議論しました。私からは,来訪者数を単位としてみれば成功例とみなされているような《アニメの聖地》であっても,地域コミュニティの形成に対する寄与という観点からみれば……という話をいたしました。一般参加でおいでいただいた方々からのご発言からも示唆を得ることができ,良い研究会に仕上がったと満足しております。

森アーツセンター『ラファエル前派展』

 シンポジウムに参加するお仕事で東京へ。午前中に時間があったので,森アーツセンターギャラリーに寄って『ラファエル前派展』を見てきました。
 自然に忠実であろうとする作風であるため,背景たる風景の描写が緻密なものが多く,好みに合う作品が数多くありました。心に留まったものはというと,ジョン・エヴァレット・ミレイ『安息の谷間「疲れし者の安らぎの場』でした。尼僧が墓穴を掘っているという暗い主題の作品ですが,2人の人物の動と静のコントラストに見入ってしまいます。