写真でイメージする海野螢『アリスの二つの顔』

写真でイメージする海野螢『アリスの二つの顔』

舞台探訪アーカイブ直轄事業

 昨夕,海野螢(うんの・ほたる)さんの新刊『アリスの二つの顔〈上巻〉地下の章』(ISBN:4790123588)が届いたので眺めていたところ,印象的な橋が背景として描き込まれておりました。鉄骨で組まれた無骨なアーチ橋で相当歴史がありそう。三車線あるうえ,もう一本の道路橋が併走している。水道橋も並んでいるようだ。
 これだけの条件が揃えば難しくはありません。おそらく東京の風景だろうと目星をつけて調べてみると,ほどなく千住大橋〔旧橋〕だと判明しました。それでtwitterに調査の依頼を投げたところ,早速かわさきゆうさんが取材報告をいただきました。ありがとうございます。

千住大橋

 漫画家を目指している主人公のアパートで,そっくりな「アリス」と「ありさ」が鉢合わせをしたあと,飛び出してきた「ありさ」を追いかけてきた場面[124頁]。





 なお,橋を下から見上げる構図については,取材された際に通路が閉まっていて調査できなかったとのことです。

〔ここから〕 追記

――ということを書いたら,しらさんから写真をご送付いただきました。『荒川アンダーザブリッジ』の取材で撮ってきたものだそうですが,そういう説明が無ければ,構図が少しずれたのかな? くらいの誤差ですね。

追記 〔ここまで〕

千住新橋

 千住大橋の周囲を探ってみると,他にも登場しているコマがありました。マンガの背景資料を撮影しに出かけて「ありさ」が被写体を務める場面[157頁]。




 場所は荒川河川敷運動公園の運動場。クリーム色のは東武伊勢崎線の,水色のは千代田線の橋脚だそうです。

相生橋中央大橋

 場面は戻って,主人公が「アリス」と間違えて「ありさ」をデートに連れ出す場面[95-97頁]。


 場面の切り替えで挟まれるカットは,佃の石川島公園から相生橋の方向を眺めた構図。


 同じく佃島。こんどは中央大橋を望む構図。