とある道東の工業高専

 ご挨拶が遅くなりましたが,2011年4月1日付けで釧路工業高等専門学校に准教授として着任いたしました。一般教育科[社会]の担当で本来的には「法学」の担当なのですが,定年退職された前任者が嘱託で残っておられますので,当面は2年の『現代社会』と5年の『ドイツ語』を担当いたします。以下,赴任前の問答。

  • Q1: 高専って,ロボコンのあれですか?
    • A1: えぇ,まぁ,そうです(^^;) が,私は一般教養の担当なので,直接には関わらないですよ。
  • Q2: 高専って,どんな学生がいるの?
    • A2: 制度の上では〈高校3年+短大2年〉を合わせたものだとお考えください。15〜20歳の学生が中心です。
  • Q3: 教員免許を持ってたっけ?
    • A4: いいえ。学校教育法第120条が高専での教育にあたるべき者の職位として「校長/教授/准教授/助教/助手」を挙げていることを受けた高等専門学校設置基準第12条を満たしているということで,採用されました。
  • Q4: コネ採用ですか?
    • A5: たぶん違います(笑) JREC-INを経由して流れてきた公募情報を見て応募してみたところ,お声をかけていただきました。出身大学の指導教員には,面接に呼んでいただいたあとになって応募していたことをご報告しました。
  • Q5: 面接では模擬授業やったの?
    • A5: やりましたよ。『現代社会』から何か好きなところを――という指示でしたので,得意な地理の中から「人口問題」を選んで披露いたしました。

 いわゆる就職活動を始めてから足かけ4年,計38箇所の公募に応募してまいりました。ちょうどこの時期に本田由紀先生の著作に触れたことが影響して,自分のやりたいのは〈法学部における法曹教育〉ではなく〈職業教育を通じた人材育成〉だと考えるようになりました。日本において職業教育を担う場は専門学校なわけですが,本気で技術者を育てようと思うなら18歳からでは遅いのでは? ということを約10年ほどの専門学校勤務で感じました。そこで,中等教育から一貫して社会科教育に関わることのできる5年制の高専を主眼に置いてアプローチをかけていたという次第です。
 大学院を出てからというもの,スペイン語,地理,歴史,政治,経済,知的財産権行政法(以下略)など幅広く教えておりました。それが今回の釧路の求人では短大相当の法律は当然として,高校相当の現代社会に加え第2外国語も教えられる者,ということになっておりマッチングが上手くいったのではないかと顧みて思うところです。
 ちなみに今日,39歳の誕生日を迎えました。常勤のお仕事に就いたのは,これが初めてです。加えて,去る3月までの1年6か月は研究機関に所属先を持たない無所属でありました。大学院在籍時には仕事が見つからなくて苦労している研究者仲間を数多く目にしてきましたが,何か得るところがあればと思い,採用に至る経緯を此処に書き記しておきますね。

 割り当てをいただいた研究室は学校内で最も高い場所(といっても4階)にあり,晴れていれば階段室の窓から雄阿寒岳雌阿寒岳を望むことができます。校舎の敷地を出れば,そこから釧路湿原だったり……。