Manga

桂遊生丸 『かしまし』 #4

原作:あかほりさとる×作画:桂遊生丸(かつら・ゆきまる)『かしまし〜ガール・ミーツ・ガール〜』第4巻(ISBN:4840236291)。 この巻では,登場人物達が実にいい表情を見せます。特にとまりん(来栖とまり)の困惑,憂い,戸惑い,溢れ出る激情――といった…

きゆづきさとこ 『GA 芸術科アートデザインクラス』

きゆづきさとこ『GA 芸術科アートデザインクラス』〔1〕(ISBN:4832275933)は,高校の美術専攻クラスを題材にした四コマ漫画。キサラギ(ドジっ子&眼鏡っ娘),ノダミキ(迷惑をもたらすピンク髪),トモカネ(暴走するショートヘア),ナミコさん(お母さ…

長月みそか 『HR(ほ〜むる〜む)』

長月みそか(ながつき・みそか)『HR 〜ほーむ・るーむ〜』〔1〕(ISBN:4832275992)。これは手放しで褒めたい。だって,中学2年生(14歳)の女の子が,丸襟シャツ(もちろん白)で,紺ブレザーの制服(プリーツスカート)ですよ! これ以上,何を望むという…

竹本泉 『コオニライフ』

竹本泉(たけもと・いずみ)の『よみきりものの…』改め『コオニライフ(KOONI LIFE)』(ISBN:4757729642)が届く。 変です(←褒め言葉)。 ソレト 「だからなんで マトリョーシカが 夜 出歩くの」 ナナミー 「あら だって そういう話 なんですもの」 69頁よ…

チャオ フラテッロ! (ミラノ編)

ミラノ(Milano)で『ガンスリンガー・ガール』の舞台探訪をしてきた成果をお目にかけます。 http://legwork.dailybells.co.uk/ciao/fratello.html 調べてきたのは,アンジェリカにまつわるエピソードが展開される相田裕『GUNSLINGER GIRL』第16話(第3巻,I…

〈空気系〉試論

『よつばと!』、『あずまんが大王』、『ARIA』、『苺ましまろ』、そして『ヨコハマ買い出し紀行』。 僕はこの辺りの作品群に、とても近いものを感じるのです。それは、物語全体を通した主題、テーマというものに起承転結を持たない点です。違う言い方で言う…

森見明日 『この醜くも美しい世界』

森見明日(もりみ・あした)『この醜くも美しい世界』全3巻。2004年4月期に放映されていた同名アニメ(製作はGAINAX)との連携作品。 ISBN:4592132610 ISBN:4592132629 ISBN:4592132637 アニメの方は知らない(留学中で日本に居なかった)のでマンガ単独で判…

青池保子 『修道士ファルコ』

青池保子(あおいけ・やすこ)『修道士ファルコ』*1。雑誌連載時に幾つかのエピソードを目にしていたのだが,文庫版を買ってきて通し読みした。 時は14世紀後半。スペイン北西部ナバーラの王家に繋がる男が主人公。彼は剣を捨て,シトー派の修道士となる。そ…

〈脱セカイ系〉の諸相 ―― 相田裕 『GUNSLINGER GIRL』〔7〕

相田裕(あいだ・ゆう)『GUNSLINGER GIRL』第7巻(ISBN:4840235325)を読む。 前巻において義体の〈二期生〉として登場したペトルーシュカ(とその担当官アレッサンドロ)。この新たなフラテッロによって,作品の方向性が変化を起こしてきています。第6巻の…

吾妻ひでお 『うつうつひでお日記』

吾妻(あづま)ひでお『うつうつひでお日記』(ISBN:4048539779)。 見どころは,あじまによる模写の数々。頭身が縮んで足首が太くなった「ヘンリエッタ」や「両儀式」や「ちぃ」や「ちせ」や「柚姫」や「葉月」や「木之本桜」や「早坂のぞみ」や「かおなし…

ツガノガク 『時をかける少女』

古書店にて,ツガノガク『時をかける少女』の第1巻(ISBN:4047136204)を見かけたので購入。『エース特濃』Vol.2(2003年5月)から連載されていたもの。原作者に筒井康隆の名が挙げられているが,アリスン・アトリー『時の旅人 a traveller in time』(ISBN:…

あさりよしとお 『少女探偵 金田はじめの事件簿』

あさりよしとお『少女探偵 金田はじめの事件簿』(ISBN:4592142535)。4月に出版されていたのに見逃していた……。1999年から翌2000年にかけて『ウルトラジャンプ』誌に連載されていたものの未完となっていた作品が,最終話を描き下ろしての単行本化。 当代き…

川原泉 『レナード現象には理由がある』

川原泉(かわはら・いずみ)の新刊『レナード現象には理由(わけ)がある』(ISBN:4592142659)は,少女まんが好きならずとも楽しめる短編集。あ,一人称の主体が少年になっているものもあるから,少女まんがでは無いかも……。それ以前に,カーラ教授を〈少女…

白衣×メガネ男子×白きづき

季刊から隔月刊行へと移行して最初の『ガンガンパワード』(ASIN:B000G5S13M)を買ってくる。いや,かなり前から買い続けているわけなのですが*1,あまり読むところが無いんですよね…… で,今号も『ラブリー百科事典』が載っているのを確認してから*2,パラ…

アルファさんと振り返る日本経済の夕凪

芦奈野ひとし『ヨコハマ買い出し紀行』が14巻をもって完結。素敵な作品でした。最後は加速度的に時間が進んでいって,コーヒーがちょっとしょっぱくなりましたけれど。 のちに夕凪の時代と呼ばれる てろてろの時間 つかの間のひととき 作品が共感を得るには…

田中メカ 『7時間目ラプソディー』

「ラブコメ」がブームとして現れたのは1980年代前半,少年まんがの分野においてだという。ササキバラ・ゴウは『〈美少女〉の現代史』(ISBN:4061497189)の83頁以下においてあだち充「タッチ」や高橋留美子「うる星やつら」などの作品を挙げ,(1)少女まん…

水原賢治 『あふたーすくーる』

水原賢治(みずはら・けんじ)『あふたーすくーる 〜after school〜』(ISBN:4903471047)。寡作な作家であり,単行本が出るのはおよそ4年振り。マイナー誌やアンソロジー集に掲載された作品に,同人誌発表作も加えた珠玉作品集。青くみずみずしい性を綴った…

ライスの国のガンスリ

米国出張してきたたてにょんから,おみやげに『GUNSLINGER GIRL』の英語版をもらいました(id:lapis:20060213)。しかも嬉しいことに,送られてきたのは第2巻(ISBN:1413902332)。Grazie! あれ?と思ったのは裏表紙の説明書き。 Graphic Novel/Manga Sci-Fi…

湖西晶 『お湯屋へようこそ』

湖西晶(こにし・あき)『お湯屋へようこそ』(ISBN:4832275720)は,流行らない温泉旅館に嫁いできた酒乱の若女将「ゆや」ちゃんを主人公にした4コマ漫画。番頭として節約に執念を燃やす夫「トージ」,凶暴な大女将「ナガユ」,苦労を引き受ける「板長」,…

みづきたけひと 『こはるびより』

ビジネス関係の書籍を見に出かける(今度,専門学校でビジネスマナー講座を開講するので)。いつもは大学近辺の書店を利用しているのだけれど,たまには別な店の陳列も見てみようと思い,サッポロビール園の隣まで出かける。 用事を済ませたあとでコミックの…

皁鉄絢 『DANDY:LION』

皁鉄絢(くろがね・けん)『DANDY:LION』(ISBN:477300603X)。玄鉄絢が改名する前に描いていた初単行本。『ZetsuMan』誌にて連載されていたもので,初出は1996年から2000年にかけてと古い。 舞台は2012年。「国際福祉機構」という偽りの名で呼ばれる国家公…

美術手帖 「マンガは芸術(アート)か?」

『美術手帖』2006年2月号(ISBN:B000E5KJXO)の特集「マンガは芸術(アート)か?――進化するマンガ表現のゆくえ」を開く。 楠見清*1による巻頭言(の題名)から,早くも困惑させられる。 「manga into art マンガがアートになる日」 ひとまず,特集の題名に…

ぱにぽにを克服しました。

校正も終わって繁忙期が過ぎたということもあり,アニメ『ぱにぽにだっしゅ!』の未視聴分を観る。レコーダーの空き容量も心許なくなってきたので,保存作業。 ふと,「もしかすると……」という気がしたので原作を開いてみると―― うわ,今なら読めるよ。しか…

荒野の蒸気娘 [1]

あさりよしとお『荒野の蒸気娘〔1〕』(ISBN:4847035372)。 自分のことを「悪い魔法使いさんに姿を変えられてしまった本当は可憐な美少女」と思いこんでいるロボットのお話。 うわ〜,すっごく微妙……。登場人物が未揃いでストーリーが回り出さない『ワッハ…

スペイン語版『ネギま!』の呪文がカタカナな理由

西語版『魔法先生ネギま!』の紹介記事を目にする。出版社のサイト*1を見てみると,2006/02/24 に第3巻が刊行されるようですね。 http://blog.livedoor.jp/adidas243/archives/50379409.html (隠れオタは夜に萌える) ちょうど,日本語版の既刊をすべて買い…

『テヅカ・イズ・デッド』をめぐる逡巡

昨秋の発売直後に買って読んだものの,途方に暮れていたのが伊藤剛(id:goito-mineral)『テヅカ・イズ・デッド――ひらかれたマンガ表現論へ』(ISBN:4757141297)。 平易な文章で書かれているのに,どうにも理解できないでいた。昨日,文学部の院生が開く読…

秋葉凪樹が織り成していた倫理観の倒錯劇 〜1995年の『かしまし』〜

密な繋がりを持つ友人の性が転換してしまった時、あなたはどうしますか? こんな荒唐無稽な命題を投げ掛けてくれているアニメ「かしまし」が人気を博している。 青ひげノート :: かしましが織り成す倫理観の倒錯劇 このエントリーを目にして真っ先に思い浮か…

海野螢 『めもり星人』

あぁ,なんて美しいのだろう。 移ろいゆく様々な宙の青が織り込まれた表紙。まるで,これから上映の始まろうとしているプラネタリウムのよう。半透明なシートを被せるという仕掛けが施されており,素敵な質感を漂わせている。取り外して透かしてみたところで…

スケッチブック

校正作業をしていると意識が飛んで行きそうになる。そんな時には,小箱とたん『スケッチブック』が穏やかに効きます。 高校の美術部を題材に取った作品。萌え四コマから〈萌え成分〉を抜いたようなサッパリ感。これを「まったり」などど表現したら重すぎる。…

委員長お手をどうぞ

栄えある2006年の初読みは,山名沢湖(やまな・さわこ)『委員長お手をどうぞ』〔2〕(ISBN:4575831786)。惜しまれながらの完結巻です。 前代未聞の〈いいんちょうもの〉という衝撃とともに登場した第1巻(ISBN:4575830356)は,堂々たる顔ぶれでありました…