Libro

連城三紀彦 『戻り川心中』

昨年5月,新潟でかんでたくまさんとお会いしたときに褒めていたので買っておいた連城三紀彦(れんじょう・みきひこ)『戻り川心中』を読みました。1980年の刊行ですが,入手したのは光文社文庫版(2006年,ISBN:4334740006)。 大正の頃を舞台に設定した5つ…

上月雨音 『SHI-NO 過去からの招待状』

富士見ミステリー文庫の純愛路線を一身に背負う上月雨音(こうづき・あまね)による『シノ』シリーズの第9巻(ISBN:4829164131)を読みつつ年越し。 既に伏線が張られていた《この前の4月の事件》について。ドジっ娘(でも公安警察)高柳さんの再登場でキャ…

陣内秀信 『イタリア海洋都市の精神』

講談社が創業100周年を記念して刊行する《興亡の世界史》。発表されたラインナップを見て,これだけは間違いなく買おう!と思ったのが第8巻(ISBN:4062807084)。陣内秀信先生が『イタリア海洋都市の精神』という題名で書かれるのなら,間違いなく面白いもの…

杉井光 『さよならピアノソナタ 1』

昨日,帰りの機内では杉井光(すぎい・ひかる)『さよならピアノソナタ』の第1巻(2007年11月,ISBN:484024071X)を読んでおりました。到着するまでに読み終えられなかった――というか,途中で無性に音楽が聴きたくなってしまったので中断。作品世界に浸り込…

西尾維新 『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』

西尾維新(にしお・いしん)の新刊『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』(ISBN:4061826263)を読みました。 とてつもなく後味が悪い…… 読んでしまったがために精神力を削られてグッタリ,というのは『カーニバル・イヴ』に近いものがあります。…

葉村哲 『この広い世界にふたりぼっち』

午後に仕事をこなしての帰り道。運転をしながら考えを巡らせているうちに,精神作用が妙な方向に向かってしまいました。いわゆる厭世観。これはちょっと沈静させないといけない。こういう時は適度に暗いものを読むのがいい。それで本棚から取りだしたのが葉…

森博嗣 『少し変わった子あります』

森博嗣(もり・ひろし)の小説『少し変わった子あります』(ISBN:416326440X)を読了。一気に読むのが勿体なくて,読み残していた1/3を楽しんだ。 森博嗣の書いたものは大部分を読みましたが,本作が最も好み。 私事になりますが,以前お見合いらしきものを…

早狩武志 『ハーフボイルド・ワンダーガール』

昨晩,就寝前に読んでいたのは早狩武志(はやかり・たけし)『ハーフボイルド・ワンダーガール』(ISBN:9784758040280)。著者は『僕と、僕らの夏』『群青の空を越えて』『潮風の消える海に』のシナリオライター。 幼馴染みの女の子,美佳からの突然の告白。…

西川真音 『零と羊飼い』

西川真音(にしかわ・まおと)+しろ『零(ゼロ)と羊飼い』(ISBN:475804001X)を読む。工画堂スタジオが2005年8月に発表したゲーム『羊の方舟(はこぶね)』を改題・改作した小説。 http://www.kogado.com/html/hitsuzi/ 地球に向かって巨大な隕石が迫って…

今野緒雪 『卒業前小景』

今野緒雪(こんの・おゆき)『卒業前小景』(ISBN:9784086012140)を読む。〈マリア様がみてる〉シリーズの……第31巻。途中を何冊か飛ばしていたのは覚えていたが,どこまで既読かまでは覚えていなかったので最新刊だけ購入。照合してみると間に2冊あったよう…

杉井光 『ばけらの!』

杉井光(すぎい・ひかる)+赤人『ばけらの!』(ISBN:9784797350616)を読む。 ライトノベル作家達を主人公に据えたコメディ。どこまで実話なんだか……。 cf.: http://blog.meguru.moo.jp/?day=20080926 作中人物が誰を指しているのかさっぱりなままに読みま…

野村美月 『“文学少女”と月花を孕く水妖』

貧血と花粉症が合併したような症状で身体が重かったので,本を読んで過ごしました。野村美月(のむら・みづき)の『“文学少女”と月花(げっか)を孕(だ)く水妖(ウンディーネ)』(ISBN:9784757739185)を読了。先週の東京出張に持っていき帰りの機内で読…

塩野七生 『迷走する帝国』

ここしばらく,就寝前の読書に文庫化された塩野七生(しおの・ななみ)の『ローマ人の物語XII』を読んでおりました。 この巻で扱うのはカラカラ帝(在位211-217)に始まる時期。東方ではササン朝ペルシアが成立(226年)し,西方ではゲルマン人による防衛戦…

西尾維新 『偽物語(上)』

取り寄せしてあった西尾維新(にしお・いしん)『偽物語(上)』(ISBN:4062836793)が届きました。午前中にお仕事があって昼下がりに帰宅。遅い昼食のあと,ちょっと気晴らしのつもりで手に取ったら面白くて―― ふと我に返ったときには1/3ほど読んでしまいま…

野村美月 『“文学少女”と慟哭の巡礼者』

昨日は私用で日帰り東京旅行。行きは機内誌を読んでいたら着いてしまったのですが,帰りの機内では読書。野村美月(のむら・みづき)の『“文学少女”と慟哭の巡礼者(バルミエーレ)』(2007年8月,ISBN:4757736851)を。“文学少女”シリーズの第5作。 お付き…

中井英夫 『虚無への供物』

ずいぶんとご無沙汰していたのですが,ミステリー読書会へ。 今回のお題は中井英夫(なかい・ひでお)『虚無への供物』(ISBN:4488070116)。1954年に起こった洞爺丸事故に着想を得て書かれ,前半部分を書き上げたところで1962年の乱歩賞に応募し,1964年に…

乙一 『天帝妖狐』

ようやく入稿できました〜(編集者さん,分量が増えてしまってゴメンなさい……)。このあと3週間で,また2本書きますけれどね。 さて,この一週間で読んだのは乙一(おついち)の『天帝妖狐(てんていようこ)』(2001年7月,ISBN:4087473422)1冊きりという…

西尾維新 『化物語』

『傷物語』に引き続いて,西尾維新(にしお・いしん)『化物語(バケモノガタリ)』を。上下巻組(ISBN:4062836025,ISBN:4062836076)で全5話構成。各話を毎晩1つずつ(第5話は長いので2晩かけて)読み終わったところ。 刊行当時,講談社BOXという仕様が好…

西尾維新 『傷物語』

雑誌原稿の締め切りが2本重なってしまって大わらわ。でも,寝る前には何か読みたい。ちょっとずつだったので一週間ほどかかってしまいましたが,西尾維新(にしお・いしん)『傷物語(キズモノガタリ)』(ISBN:4062836637)を読みました。先行する『化物語…

野村美月 『“文学少女”と穢名の天使』

先週の金曜日は帯広に出張,土曜日から月曜日までニセコで合宿研究会,火曜日には札幌で仕事,そして水曜日から東京へ出張。この一週間は殆ど自宅にいない日程です。移動時間にしても行きは仕事の準備をして帰りはビールを飲んでくきゅー(*><*)だったり…

上月雨音 『SHI-NO 空色の未来図』

上月雨音(こうづき・あまね)の最新刊『SHI-NO ―シノ― 空色の未来図』(ISBN:9784829164105)を読みました。シリーズ第8作。 実家に帰省した〈僕〉宛てに届いていたのは,自殺した女の子からの年賀状。《死者からの手紙》の発信者は誰であったのか? という…

葵せきな 『生徒会の三振』

葵せきな(あおい・‐)『碧陽学園生徒会議事録 3 生徒会の三振』(ISBN:9784829133132)を読みました。 夕涼みにだら〜っとしながら読むには最適。

西尾維新 『きみとぼくが壊した世界』

レビュー記事においてネタバレを是とするか非とするか,通称「犯人はヤス」問題は古より尽きることなく争われてきた論題です(正確には,ネタバレを掴まされてしまった者からの罵詈であることが殆どですが)。かくいう私,ネタバレを聞かされようと一向に構…

野村美月 『“文学少女”と繋がれた愚者』

帰りの機内で読んだのは,野村美月(のむら・みづき)『“文学少女”と繋がれた愚者(フール)』(2007年1月,ISBN:4757730845)。シリーズ第3作。前2作はいずれも羽田空港を経由した時に読んでいるので,今回も読まなくてはいけないような気が…… あれれ? 遠…

河原温 『ブリュージュ』

留学していた時分に近隣諸国を旅してまわったので,これまでにEC加盟15か国のうち10か国を訪れたことがあります。その後EUは27か国に増えてしまったので,全踏破は難しそうですが…… これまでに足を運んだ町の中で最も気に入ったところは,ベルギーの{ブルー…

朱門優 『ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。』

昨晩,旧知の人物(松本旅行で馬刺を奢ってもらった人)から連絡がありました。依頼内容は「ニッカ余市蒸溜所限定発売シングルモルト余市12年(カフェグレーン)ウイスキー」を買ってきて!というもの。いつでもいいと言われたのですが,都合のつけられる日…

橋本紡 『半分の月がのぼる空 4』

ここしばらく観たり読んだりしたものは,あえて何か書き残すまでもないというようなものでした。橋本紡(はしもと・つむぐ)の『半分の月がのぼる空』も,第2巻は一旦ケリを付けた作品の続刊を書き始めるにあたっての整理,第3巻は幼なじみ登場という具合で…

北村薫 『空飛ぶ馬』

昨晩読み始めたのは,北村薫(きたむら・かおる)のデビュー作であり《円紫師匠と私》の第一作である『空飛ぶ馬』(初出1989年,ISBN:4488413013)。 近世文学の教授と鉢合わせしたのが契機となって研究室で珈琲をいただくことになり,さらにそれが縁で落語…

米澤穂信 『インシテミル』

昨晩,米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)の『インシテミル(THE INCITE MILL)』(ISBN:4163246908)を読み終わりました。 アルバイト情報誌に載った「人文的化学実験の被験者」を募る求人広告。「時給1120百円」との記載を面白がってか,見落としたか,はたまた…

乙一 『暗いところで待ち合わせ』

夕方,ちょっと不機嫌になることがあった。夜にやろうと思っていた予定を取りやめて,乙一(おついち)の『暗いところで待ち合わせ』(2002年,ISBN:4344402146)を読む。疫学的経験則に沿えば,軽度の精神荒廃はビールと乙一の処方を以て治癒する。 本作の…